段位試験の技

けん玉の重要な技術のほとんどは、級の試験に登場する基本技に含まれています。 段位試験に登場する技は難易度はぐんと上がるのですが、 基本技の完成度が高い方であれば、 上級者のフォームを参考にしてコツコツ練習していくうちに、 少しずつ成功率が上がっていくと思います。

段位試験の技 (初段で登場) 段位試験の技 (三段以上)
地球まわし
さか落とし
うらふりけん
宇宙一周
うぐいす
つるしとめけん
はねけん
一回転飛行機
一回転灯台
すべり止め極意
うぐいすの谷渡り
灯台とんぼ返り
つるし一回転飛行機
二回転灯台
タイム競技B

地球まわし

動画: JKA  Youtube

「ふりけん」を完成させた後、玉を手前に一回転させて、けん先に戻す技です。 (反対方向に回すと「裏地球まわし」という別の技と判定されます。) 各段の審査で、この技で落とされる人は多いです。

「ふりけん」がどんな形で決まっても、いったん体勢を立て直し、 毎回同じ姿勢から始めるようにしましょう。 けん先の小皿側の面(遠い方の面)で、 玉の穴の内側の側面をこすりながら押す感じで玉に回転をかけると、 安定して回せると思います。 ゆっくり回した方が入れやすいですが、上下運動をしている間に 玉がけん先から大きく離れてしまうとかえって入れにくくなりますので、 けんで玉を追いかけてください。 膝を使って体全体で追いかけると目線も変わりませんので、 さらに良いと思います。

年を取って動体視力が衰えた方でも、 タイミングをつかめばどんどん入るようになりますので、 あきらめないでください。

さか落とし

動画: JKA  Youtube

「灯台」を完成させた後、けんを手前に半回転させて、けん先を玉の穴に入れる技です。

小皿が手前にくるように灯台を決めると、 さか落としがやりやすいと思います。 灯台を決めたあと、一度けん玉と体をきちんと静止させることがルールで義務付けられています。 目安は1秒です。 そのままさか落としに移れる位置に持ってきてから静止すると良いと思います。 膝を使って玉を下げて、けん先をほんの少し手前に倒した状態から、 真上方向より少しだけ向こう側に押し上げることにより 手前方向の回転を与えながら、けんを小さく投げ上げます。 回転が速すぎても遅すぎても取りにくくなりますので、 練習して丁度良いところを探してください。

糸がけんの向こう側にある場合、中皿のふちにひっかかって失敗しやすくなります。 頻繁に起こるようであれば、「灯台」のやりかたを工夫してみてください。 高段者に聞いてみると、引き上げる方向を真上から少しずらしてみたり、 引き上げてからけんを乗せるまでの間に玉を素早く動かしてみたりといった、 それぞれの工夫があるようです。 ただし、慣れないうちは灯台で失敗する確率も高くなります。 糸のくせの付き方によっても大きく変わりますので、 けん玉を変えてみるのも一つの手だと思います。

うらふりけん

動画: JKA  Youtube

「ふりけん」と反対方向に玉を一回転させて、玉の穴にけん先を入れる技です。

「とめけん」と同じように、つり下げた玉を引き上げますが、 けんを向こう側に押し出しながら引き上げることにより回転をかけます。 「日本一周」や「世界一周」の小皿に乗せるときと同じ方向ですが、 もっと強く回転をかけることになります。 指導者によって、「手首を使って」と言う人と、 「手首は使わないで肘を使って」と言う人がいますが、 自分がやりやすい方法でよいと思いますので、 安定して回せる方法を見つけてください。

けん先を入れる瞬間は玉の穴が見えませんので、 見えている間の軌跡から予測することになります。 糸穴の位置も重要な手掛かりになります。 ずいぶん難しく感じられるかもしれませんが、 慣れてくると自然に入るようになります。

正式なルールでは、けん又は玉が一部でも肩幅の範囲から外に出ると反則になります。 この技に限っては、審査のときは審判に正対するようにしてください。

宇宙一周

動画: JKA  Youtube

けんを持ち、つりさげた玉を 横に向けて寝かせたけん先の皿胴近くに乗せた後、 玉を浮かせて玉の穴にけん先を入れ(以下、「けん」)、 さらに、「小皿→けん→大皿→けん→中皿→けん」の順に玉を移す技です。 「大皿→けん→小皿→けん→中皿→けん」でもよいです(ただし少数派)。 玉をけん先の側面に乗せた後、玉の穴にけん先を入れる時、 「けん先すべり」のようにすべらせてはいけません。 (もちろん、玉の穴のふちがけん先に接する必要はありません。) 放り上げて浮かせてください。 昔は、けんから皿に移すときに、地球まわしのように回転させる規則だったらしいですが、 現在では回転させずにけんを抜いてもよいことになっています。

「日本一周」や「世界一周」と同じように、 玉がけん先や皿に乗っているときは、玉の穴が自分に向いているようにしましょう。 「世界一周」から特別に難しくなった箇所はありませんが、 「けん」を4回も行わないといけませんので、 「世界一周」を2回または3回連続で成功させるのと同じ程度の 難易度だと思います。

糸が引っ掛かって失敗する確率は結構高いです。 特に、中皿に玉を乗せるときに糸が手前に来てしまうと、 最後の「けん」が難しくなります。 ちなみに私は、 中皿に乗せる直前のけんを玉から抜くところで、 糸穴の方向を右下に向け、 抜きの動作を大きめにしています。 人によって状況は異なると思いますが、 毎回同じ箇所で引っ掛かるようでしたら、 そこだけ重点的に練習して、 うまくいく方法を探した方が良いと思います。

うぐいす

動画: JKA  Youtube

「とめけん」と同じようにつり下げた玉をまっすく引き上げ、玉の穴を利用して、 玉を大皿のふちに乗せる技です。 (ルール上は小皿のふちでもよいです。 けん先と玉は触れていなくてもよいですが、 触れずに安定させるのは非常に難しいと思います。) けん玉と体が完全に静止した状態で3秒たったら成功です。 枝にとまったうぐいすのように見えることから名づけられました。

玉を正確にまっすぐ引き上げたら、 最高点に達した直後に乗せるようにすると良いです。 指先の力を抜いて、柔らかく受けるようにすると 成功率が格段にアップすると思います。

つるしとめけん

動画: JKA  Youtube

親指と人差指で糸の中程を持ち、けん玉をつるし(右利きの場合:左に玉、右にけん)、 まっすぐに引き上げて、糸をはなしてけんをつかみ、玉の穴にけん先を入れる技です。 糸を指に掛けてつるしてはいけません。 また、糸を余らさせてつまんではいけません。 けんをつかんだ時、皿胴をつかんではいけません。 投げ上げた手でけんをつかんでください(反対の手でつかんではいけません)。

規則では、玉の中心の高さがけん先から中皿の間の範囲に入っていればよいことになっていますが、 玉が皿胴に接している方が安定してよいと思います。 玉と皿胴の中心の高さを同じにするか、 ほんの少しだけ玉の中心を高くするくらいが良いと思います。 玉を回転させずに引き上げられるように練習しましょう (または穴が少しだけ手前側・右側にくるように)。 玉から目を離さずにけんを取れるようにしましょう。 手を離してから玉の穴にけん先をいれるまで、 あまり時間をかけない方がよいと思います。

はねけん

動画: JKA  Youtube

「飛行機」を完成させた後、けんを手前に一回転させて、戻す技です。 各段の審査で大きな壁となります。 初段の審査で余裕で各種目をクリアしてきた人が、 最後のこの技が一回もできず不合格になったのを何度も見たことがあります。

この技に限らず、けんを回す技では、 けん先、大皿、中皿、小皿が同じ面の中で回転するようにしてやると、 けんの動きが見やすくなります(上級者のほとんどがそうしています)。 そのために、まず、大皿が手前にくるように「飛行機」を決めましょう。 左手でけんを離すとき、親指を先に離して、 けんを人差指と中指の腹の上で自然に軽く転がすようにして、 反時計回りの「ひねり」の運動を与えます。 (体操選手の運動になぞらえて、 けん先と中皿の中心を結ぶ線を軸とした回転を「ひねり」と呼ぶことにします。) 「ひねり」の速さを加減して、 「引き」を行う位置(=最下点付近)に来た時に小皿が手前を向くようにしてやると、 「飛行機」が完成した時には 半回転して大皿が手前になります。 最初から小皿を手前にして、「ひねり」を入れずにふり出せばよさそうなものですが、 試してみるとうまくいきません。 小皿が手前を向いた状態で「引き」を行うと、 けんの糸穴が右側を向いているために、 時計回り方向に「ひねり」の運動をさせようとする力が加わるからです。 しかし、あらかじめ反時計回り方向の「ひねり」の運動を与えておくと、 この「引き」による力とちょうど打ち消しあって、 「引き」の後はどちらの方向にも「ひねり」の運動をしなくなり、 小皿が手前の状態からきれいに半回転して大皿が手前にきます。

(外国製のけん玉の中には、けんの糸穴の位置が、 日本の認定けん玉と異なるものがあります。 その場合、上記のようにふり出してもうまくいきません。)

大皿が手前を向いた状態から「はねけん」を行うと、 大皿と小皿がけん先と同じ回転面上に乗って、 けんの動きが見やすくなります。 しかし、毎回、「飛行機」が完璧な形で決まるとは限りません。 大皿の方向が少しずれてしまった場合には、 手首の角度を変えて修正するのも一つの手です。 正式ルールでは、手首の角度の変更は一度に限り認められています。 しかし、二回以上変えたり、 勢いをつけて手首を動かしてけんと玉との相対角度を変えたりすると 反則を取られます。

けんの回し方は、練習を重ねていくうちに自然に上手になると思います。 複数の動画を見ると、上級者でも人によって若干異なっていることがわかります。 自分に合ったやり方を見つけてください。 捕る方も、目が慣れてくるにつれて徐々に確率が上がってくると思います。 あきらめず続けて下さい。

一回転飛行機

動画: JKA  Youtube

玉を持って、前方にふり出したけんを手前に一回転半させて、 けん先を玉に入れる技です。 回転数が多い分、次の「一回転灯台」よりも難しいかもしれません。 割とその日の好不調が出やすい技です。

回転数 回転なし 半回転 一回転 一回転半 二回転
けん 灯台 飛行機 一回転灯台 一回転飛行機 二回転灯台
とめけん ふりけん

上の表を見て分かるように、けんと玉の違いはありますが、 「ふりけん」よりも多く回す必要があります。 まず、しっかり「引き」を行ってけんを回せるようにしましょう。

一回転半回せるようになったら、回転をきれいにしましょう。 「はねけん」と同じように、 大皿と小皿がけん先と同じ回転面上に乗っている方が動きを見やすくなり、 けん先を玉の穴に入れやすくなります。 はねけんの前の飛行機 と同じように、ふり出すときに「ひねり」を加えて、 小皿が手前に来た時に「引き」を行えばよいはずですが、 「一回転飛行機」の「引き」は「飛行機」の「引き」よりも強いので、 ふり出すときの「ひねり」の速度を大きくしておかないと、 「引き」が作る時計回りの「ひねり」の力に 負けてしまいます。 「飛行機」の場合、「ふり出し」→「引き」の間に、 糸穴の方向が「手前」→「右」となるように「ひねり」をいれていました。 「引き」のときには糸穴は右を向いていないといけませんので、 「飛行機」のときよりも「ひねり」の速度を大きくするためには、 「一回転飛行機」のふり出し時は糸穴が左を向いているくらいでないといけません。 実際、上級者の多くが、大皿が手前にくる状態から 強めの「ひねり」を加えてふり出しています。

(外国製のけん玉の中には、けんの糸穴の位置が、 日本の認定けん玉と異なるものがあります。 その場合、上記のようにふり出してもうまくいきません。)

ついつい悪い癖で理屈を並べてしまいましたが、 小学校低学年でもできる子はできますので、 実際に試行錯誤する方が重要だと思います。

一回転灯台

動画: JKA  Youtube

玉を持って、前方にふり出したけんを手前に一回転させて、 玉の上に中皿を乗せてけんを立てる技です。 「灯台」と同様、けん玉と体が完全に静止した状態で3秒たったら成功です。

「灯台」と「一回転灯台」の関係は、 「とめけん」と「ふりけん」の関係と同じです。 したがって、理屈上は「ふりけん」と「灯台」ができれば回転させて乗せることができるはずです。 「ふりけん」のページで、 「ふり出しの前から、玉の穴の位置を意識しておくと良い。」と書きましたが、 この技の場合は、「ふり出しの前から、中皿を意識しておくと良い。」と思います。 回転するけんを玉に乗せないといけませんので、「灯台」よりバランスを取るのが断然難しくなりますが、 練習を積み重ねていくと少しずつかもしれませんが着実に成功率が上がっていくと思います。

すべり止め極意

動画: JKA  Youtube

つり下げた玉をまっすぐ引き上げ、「うぐいす」と同じように玉の穴を利用して、 玉をすべり止めの上に乗せる技です。 やはり、けん玉と体が完全に静止した状態で3秒たったら成功です。 親指で小皿を、残りの指で大皿を持ちます。 皿胴より中皿に近い部分を持ってはいけません。 指を皿の中に入れて持つか皿のふちにかけて持つか、薬指と小指を使うか使わないかなどは、 人によって異なると思います。 けん尻(中皿側)を少しだけ下げると乗せやすいです。

練習していくうちにすべり止めの部分が少しずつ欠けてきて凸凹になり、 新品のけん玉よりもすべり落ちにくくなって成功率が上がることもあると思います。 ただし、大会や審査などでは、 凸凹のけん玉はけん玉検査にひっかかるかもしれません。

うぐいすの谷渡り

動画: JKA  Youtube

「うぐいす」を完成させた後、玉を回転させずに小皿のふちに移し、 最後に玉の穴にけん先を入れる技です。 大皿のふち、小皿のふちのそれぞれで、 一度けん玉と体をきちんと静止させることがルールで義務付けられています。 目安は1秒です。 ルール上は、小皿のふちに乗せてから大皿のふちに移してもよいことになっています(ただし少数派)。

大皿のふちから小皿のふちに移すときは、玉を高く上げないようにしましょう。 前後方向(=遠近方向)には、玉はほとんど動かさないようにして、その代わりにけんを動かします。 大皿うぐいすよりも、小皿うぐいすの方が、けんを傾ける角度は大きくなります。

灯台とんぼ返り

動画: JKA  Youtube

「灯台」を完成させた後、けんを手前に一回転させて、 もう一度、玉の上に中皿を乗せてけんを立てる技です。

小皿が手前にくるように灯台を行うとやりやすいです。 灯台を決めたあと、一度けん玉と体をきちんと静止させることがルールで義務付けられています。 目安は1秒です。 そのままとんぼ返りに移れる位置に持ってきてから静止すると良いと思います。 回し方は「さか落とし」と似ていますが、 多めに回転させないといけません。 すべりやすいけん玉だと、立てるのも大変ですが、 回すのもやりにくくなります。

つるし一回転飛行機

動画: JKA  Youtube

親指と人差指で糸の中程を持ち、けん玉をつるし(右利きの場合:左にけん、右に玉)、 前にふり上げて糸をはなして、けんが手前に一回転半する間に玉をつかみ、 けん先を玉の穴に入れる技です。 持ち方のルールは、けんと玉の左右が逆になること以外は「つるしとめけん」と同じです。 けんが一回転半するのに対して、玉は半回転で捕まえます。 けんから目を切らさずに、素早くキャッチしましょう。 慌ただしくて難しい技ですが、きれいに決まると爽快です。 上級者の動きを参考にして、たくさん練習しましょう。

二回転灯台

動画: JKA  Youtube

玉を持って、前方にふり出したけんを手前に二回転させて、 玉の上に中皿を乗せてけんを立てる技です。 「灯台」と同様、けん玉と体が完全に静止した状態で3秒たったら成功です。 難しい技ですが、五段では規定回数が1回ですので、 3回に1回の成功率で十分だと思います。

タイム競技B

動画: JKA  Youtube

決められた10個の技(@前ふりろうそく、A県一周、B日本一周2回連続、 C世界一周2回連続、Dヨーロッパ一周、E地球回し、Fうぐいす〜けん、 Gはねけん、H一回転飛行機、Iさか落とし)を順序通り行い、終了までのタイムを競います。 技を失敗したら成功するまで次の技に進めません。 審判の『構え。始め!!』で開始し、『よし!』で終了です。 段位の審査だけでなく、トーナメント戦で同点の時の 最終決戦にも用いられます(サッカーのPK戦のようなもの)。 技の正確さ、スピードだけではなく、 技と技のつなぎの素早さも要求されます。 加齢とともにきつくなる競技です。

「@前ふりろうそく」は、玉を前にふって「ろうそく」を完成させます。 大きくふる必要はありません。 一周技の玉の皿乗せは、皿の面に玉の面をきちんと接触させて下さい。 「B日本一周2回連続」は、玉の穴にけん先が入ったら、 玉をおろさずに連続して技を行ってください。 (2周目で失敗しても、1周目からやり直しです。) 「C世界一周2回連続」も同じです。 「Dヨーロッパ一周」は「宇宙一周」の技から、 最初の2つ、「けん先〜けん」を除いた技です。 まず、つり下げた玉をまっすぐに引き上げて小皿に乗せて、 「小皿→けん→大皿→けん→中皿→けん」と玉を移していきます (小皿と大皿の順番が逆でもよいです)。 「Fうぐいす〜けん」は「うぐいす」の完成後、 玉の穴にけん先を入れる技です。 「うぐいす」は、玉の穴が正しく大皿のふちに接していれば、 静止の必要はありません。 「Iさか落とし」も「灯台」は、 中皿が正しく玉に接していれば、静止させる必要はありません。

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