「とめけん」は、けんを持ち、つり下げた玉をまっすぐ引き上げて、玉の穴にけん先を入れる技です。 皿に乗せるより断然難しくなりますが、正しいやり方を覚えればすぐにできるようになると思います。
けん先を上に、大皿を手前にしてけんの皿胴のすぐ下の部分を持つ「けんグリップ」と 呼ばれる持ち方から始めます。 親指、人差指、中指の指先近くでけんを持ちます。 薬指と小指は軽く添えます(離してもいいです)。
けんグリップから、玉をけん先、大皿、小皿、中皿すべてに移すことができますので、 さまざまな技で用いられています。 人によって手の大きさや関節の柔らかさが異なるので、グリップにも微妙な違いがあります。 「とめけん」の段階でグリップを固定してしまうと、 その先の技がやりにくくなる可能性もあります。 「世界一周」をマスターするくらいまでに、 自分に合ったグリップを見つけてください。
玉の穴にけん先を入れる技の中で「とめけん」は最も簡単な技ですが、 「ふりけん」や「日本一周」などの技と異なり、 穴が見えない状態でけん先を入れなければいけない難しさがあります。 引き上げている途中で穴が玉の真下からずれてしまうと、 けん先に入れることが非常に難しくなります。 穴の位置を動かさないようにするためには、 玉を鉛直方向(真上方向)に引き上げることが最重要です。
穴の位置を動かさずに引き上げることができたかどうかは、 糸穴を見ていればわかります。 (慣れてくると糸穴の位置のズレから穴の位置を判断して けん先を入れることができるようになりますが、 はじめのうちは回転させないことに集中したほうが良いと思います。) また、技を始める前に左手を使って玉を完全に静止させておくことも重要です。 糸穴の位置がぐらぐら揺れ動いていると、せっかく鉛直方向に引き上げても、 穴の位置は動いてしまいます。
わざと斜めに引き上げたり、ぐらついた状態から引き上げたりしてみて確かめてください。 玉が回ってしまうことがわかると思います。
正確に引き上げるためには、重力の方向を体に覚えさせるといいです。 そのために、玉を完全に静止させた後、 腕の力を抜いて重力に任せて玉をけんと共に下げます。 そして、下降時の軌道をなぞるように引き上げます。 このとき、膝の曲げ伸ばしを同時に行うと、 その分だけ腕の動きを少なくすることができます。
玉にけん先を入れるときは、「大皿」などと同じようにけんをゆっくり下げながら入れます。 玉が落ちてくるのに合わせる感じです。 膝を使って体ごと下げるとよいと思います。
玉をコマのように横回転させてから引き上げると、 回転軸が安定して、斜めに引き上げても穴の位置が動きにくくなり、 格段に成功率が上がります。 ただし、これは「まわしけん」と呼ばれる別の技ですので、 「とめけん」の試験では反則扱いになります。
手でひねって回した直後は回転軸がふらついているので、 糸がたくさんねじれて回転がいったん止まり、 逆方向に回転するまで待ってから引き上げた方が確実です。 (短気な人には、じれったいかもしれません。)