「とめけん」と同じように「けんグリップ 」でけんを持ちますが、「ふりけん」は 前方にふり出した玉を手前に一回転させて、玉の穴にけん先を入れます。 初心者が、まぐれで成功する可能性はほとんどないでしょう。 昇級の大きな壁となって立ちはだかるかもしれませんが、 普通のことですので、自分がけん玉に向いていないなどと思わないでください。 「飛行機」がけんを半回転させるのに対して、 この技では玉を一回転させる必要があります。 半回転までは前にふり出せば自然に回りますが、 それ以上は正しく「引き」を入れないと回りません。
「とめけん」の解説で、 斜めに引き上げると玉が回転してしまうと 書きましたが、「ふりけん」ではそのことを利用します。 玉をふり出して、最下点を通り過ぎたのち玉を引き上げますが、 玉を引く方向は糸の方向ではなく、もっと手前側に引きます。 糸と平行な方向に引いても、玉を回転させることはできません。 へそに向かって引く感じです。
上級者の試技(嶋寺六段) を参考にして、 けん(皿胴の中心あたり)と玉を結ぶ線が動いていく様子を描いてみました。 下の文章は、(1)から(4)の赤い部分の動きをそれぞれ説明しています。
(1)けんを下げながら左手から玉を離します。 けんも下げているので振り子の運動にはなりませんが、 落下の勢いで玉にスピードが与えられます。 膝を使って体ごと沈めるとやりやすいです。 (2)けんを止めます。スピードのついた玉が振り子の運動を始めます。 (3)最下点を通過したら、けんで糸をクイっと手前に引きます。 この「引き」の動作によって玉が回りだします。 (4)玉がゆっくりと回転しながら上がってきますので、 落ちてきたら穴を良く見てけん先を入れます。 きれいなフォームを身につけるのには時間がかかると思いますが、 まずは、「引き」によって玉に回転を与えることができるようにしましょう。
玉を回すコツさえつかめたら、あとは練習すれば成功率があがってくると思います。 成功率をあげるためには、ふり出しの前から玉の穴の位置を意識しておくといいでしょう。 玉の運動を楕円のような縦長の軌道に乗せるようにして、 前後方向(=遠近方向)の運動を小さくすると、 けん先を玉の穴に入れるときのミスが少なくなると思います。
ふりけんで「引き」のコツをつかんだら、 「飛行機」も ふり出しの勢いに頼らないで、「引き」で上げるようにしましょう。 ふりけんよりも糸に平行に近い方向(=上向き)に引きます。